電車に乗ることにはなるが、妊娠確認、及び妊婦健診には、三ノ輪の紀レディースクリニックを選んだ。
理由は、出産先の候補としていた東大病院、順天堂医院、両方のセミオープン提携先だったから。
先生の評判もよかった。私も、落ち着いた物腰で丁寧に説明してくださる先生を信頼している。
今回は、2日前から始まった嘔吐で、ほぼ水分が摂れず体調が悪いため、初めて配車アプリ「GO」をダウンロードし、タクシーを予約した。
なんと片道およそ2千円という贅沢な通院になってしまったが、乗ってみたかったロンドンタクシー型の新しい車は中が広く、快適だった。
診察券、母子手帳、妊婦健診の補助券、順天堂医院から渡されたセミオープン用のノートを忘れずに持参する。
いつか、一度はなにかしら忘れそうだ。
尿検査、体重、血圧測定は、今後毎回のことになるようで、来院したら自由に自分で始めてよいとのこと。
診察では元気な我が子の様子が確認でき、一安心した。トラウマにはならなかったけれども、一度の流産経験でいつも最悪のケースが頭をよぎる。
「尿にケトン体がありますね」
かんたんに言うと、栄養が十分にとれておらず、自分の栄養を子に送っているとこうなる。
その場で点滴をお願いした。幸い、ほかの方の予約がなかったので、当日打って帰ることができた。
500ml。水分、イオン、糖分、吐き気止めを含む点滴を2時間かけて体に取り込む。
時々眠りに落ちながらも、つわりによる気持ち悪さは治まらなかった。
「点滴で水分などは入りますけれど、2時間かけて結局たった500ミリですからね。一番は、やっぱり口から飲めることですよね」
優しい看護師が、世話をしながら話してくれた。
たしかにそうだ。
点滴さえ打てば回復すると神扱いしていたけれど、2時間、あまり寝返りも打てずに過ごすのも、これはこれで厳しい。
これからは、「水がまずい」など甘えず、飲めるならぐいっと飲んで、脱水症状を回避しよう。ふらつきながらタクシーに乗って点滴を打つより、はるかにラクだ。
多分今までの私は、若干思考停止していた。
もっとつわりの症状をよく観察しよう。
つわりに正面から向き合って、付き合いぬこう。
なんか決意を新たにした。